福嶋昌男さんに対する一審判決書が、10月に入ってようやく交付されました。3月3日の判決から7ヵ月もたっての交付です。判決さえ言い渡してしまえば、あとのことはどうでもいいと思っているのでしょうか。無実の福嶋さんに対し、検察立証が完全破綻しているのを重々承知のうえで未決勾留12年を強制し、さらに懲役12年(未決勾留日数中約7年を算入するので、約5年の実刑を強制しようというのです)を言い渡した服部悟裁判長を断じて許すわけにはいきません。
判決書は950頁にもおよぶ大部のものですが、そのほとんどがデッチあげ検察主張の引き写しであり、福嶋さんと弁護団の反対尋問と反証を合理的根拠もなにも示さず、なで切りに否定して強引に有罪を判決したものであり、デタラメ極まりないものです。
しかし、無実の者をどんなに言葉を重ねようと有罪にすることなど許されることではありません。
そもそも福嶋さんと迎賓館・横田の両事件を結びつける直接証拠など一切ないことは検察側も認めています。デッチあげの「証拠」は岩手借家から押収されたというメモだけです。ところが、福嶋さんは岩手借家の存在すら知りません。須賀さんら3名となんの関係もありません。
メモについても福嶋さんはまったく知りません。そのメモを検察同様手前勝手な解釈を施し、さらにその筆者が福嶋さんだというデッチあげ筆跡鑑定をもって、福嶋さんが「両事件を敢行する上で、極めて重要かつ必要不可欠な」作業に関与した、だから共謀共同正犯が成立するんだと強弁しています。
服部裁判長は須賀・十亀・板垣さんに対する一審無罪判決に打撃を受けているのは間違いありません。地裁刑事第11部・木口信之裁判長は「共謀共同正犯の罪責を問う以上、共謀の存在自体は合理的疑いをいれない程度に証明されている必要がある」との立場を明らかにした上で、メモ類について「非供述証拠として取り調べられたものであるから、これらのメモ自体を、各メモに記載された事柄が実際に存在したという立証に直ちに用いること」は許されないし、仮に用いたとしても検察官の主張には相当の飛躍があるとして無罪を判決したのです。
服部裁判長はこの判決に触れないわけにいかず、ひとこと「十亀らの場合と直ちに同列に論じることはできない」とあっさり切り捨てています。
福嶋さんと弁護団は、控訴審に向かって全力で控訴趣意書作成に取りかかっています。
控訴審の舞台となる東京高裁の係属部が、第2刑事部(安廣文夫裁判長)に決まりました。ともに逆転無罪判決をかちとるためにたたかいぬきましょう。
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